Limitless Online Series(※PTCGOを利用した定期的なオンライン大会。海外では非常に注目度が高い。)において『アルセウス&ディアルガ&パルキアGX』が一時的に禁止されました。
Limitless:https://limitlesstcg.com/

それに対する彼らの考えが投稿されていたので、今回はその記事を翻訳しようと思います。(Limitless公式から翻訳許可をいただいております。)

■元記事
Limitless Online Series - Arceus & Dialga & Palkia-GX
https://play.limitlesstcg.com/resources/adp

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2021年1月より、アルセウス&ディアルガ&パルキアGX(以下ADP)は、スタンダードフォーマットのリミットレスオンラインシリーズの全てのトーナメントから一時的に禁止されることになりました。
私達はこの停止期間の最初の一ヶ月間、プレイヤーからのフィードバックやメタゲームの状態を注意深く監視し、それ以降のトーナメントにも適用するかどうかを決定する予定です。

この記事ではこの決定を行った理由と、それによって何を達成したいのかを議論します。
ADPは無敵ではありませんし、トーナメントでの勝率も50%をわずかに超えているだけなので、厳密に言うと勝率バランスの問題ではありません。
ADPは現在あるいは過去のデッキやカードたちと比べて、劇的に成功しているカードではありませんが、禁止することでスタンダードフォーマットの体験を向上させることができる理由は複数あると考えています。

第一に禁止されたカードやデッキがなんであれ、これを行うことで何らかの形でゲームを変えることが保証されており、少なくともしばらくの間はより新鮮で未だ研究されていないメタゲームにつながります。
3神ザシアン (以下ADPZ)は TEU-VIV と TEU-DAA の両フォーマットにおいて、ほぼ全てのオンライントーナメントで常に最もプレイされているデッキであり、平均して約20% のメタゲームシェアを占めています。
これ自体は必ずしも問題ではありませんが、この議論のベースとなる事実です。

ADPの最も批判されている側面は、そのゲームプレイと全体的な戦略です。おそらく他のどのデッキよりも、ADP は非常に早い段階でゲームを決めることに長けています。
実際、多くのゲームは2ターン目には基本的にゲームが終了しています。最も重要なのは、「オルタージェネシスGX」を使用した直後に何が起こるか。
デッキがすぐにADPに対処できず、「アルティメットレイ」の機会を与えてしまうと、通常追いつくことが不可能に近い状態になってしまいます。
260ダメージの「ブレイブキャリバー」に耐えられないサイド1-2枚のアタッカーを軸にしたデッキは、「オルタージェネシスGX」の追加効果に追いつく術がなく、ADPZデッキが持つ全てのさらなる力によって、すぐにチェックメイトに追い込まれてしまいます。
HPに余裕のあるサイド3枚のアタッカーを軸にしたデッキでさえも、非常に不利な状況に陥っており、ボスの指令の1~2枚だけで負けてしまいます。
特筆すべきは、ADPZはこのチェックメイトを達成するために大きなコンボや準備を必要としないということです。それが必要なのは、いくつかの基本的なポケモンと基本的なエネルギーの手張りです。

(ADPを対策するにあたり)2ターン目に280ダメージを与えてADPをきぜつさせるのは簡単ではありません。それができるデッキは存在し、ADPZに対して勝てる率はかなりのものです。しかし、ゲームは決定されるスピードが速いため、あまりインタラクティブな感じがしません。
明らかに同じ程度ではありませんが、ADPZは「Donk」デッキ(例:巨大植物の森&ダーテング、ワンキルラティオス、その他の1ターン勝利コンボ)のように感じることがあり、1ターンでゲームが決定され、プレイヤーの意味あるやりとりがありません。
プレイの優先度が絡んでいたり、代替のゲームプランがあったり、ADPZ には確かに多くのデッキ構築の判断が行われていますが、その核心部分では非常に「ソリティア」デッキと近い感じがすることが多いです。

面白いと思われるデッキの多くが、ADPに対処する良い方法を持っていません。有利なマッチアップを持つこと自体は何も珍しいことではなく、トップデッキは結局のところ理由があってトップデッキとなっています。
しかし、ADPZ がゲームに課しているルールは非常に圧迫的なもので、デッキがそれに対抗するチャンスを得ることすら困難にしています。ADPZがトーナメントで最もプレイされているデッキでなければ、これは大きな問題ではありませんが、トーナメント中に少なくとも1回は対戦しなければならないでしょう。多くのトーナメント、特にリミットレス・オンライン・シリーズ・ウィークリーでは、1回以上の敗北はプレイヤーをトップカットの争いから遠ざけています。このため、ADPZ を無視して「不利マッチアップを踏む」ことは勝とうとしている時には良い戦略とは言えず、プレイヤーが遅いデッキや珍しいデッキを持ってくることを強く阻害しています。

早い段階でADPをきぜつさせることとは別に、ADPへの対処法として登場したもう一つの人気戦略があります。それがエネルギー破壊です。
ADPをきぜつさせることができないデッキたちでも、少なくともそのエネルギーを破壊しようとすることができ、その方法で「アルティメットレイ」を止めることができます。その場合の問題点は、このフォーマットで最も普遍的なエネルギー破壊カードである『クラッシュハンマー』がコインを投げるため、本質的に信頼性が低いカードであるということです。このカードはその他の多くのデッキが戦えるペースまでゲームスピードを遅らせることができますが、同時に序盤のコインの表裏によってゲームが決まるという、全く新しいレベルのランダム性を導入することになります。『クラッシュハンマー』がこのスタンダードフォーマットで最も人気のあるグッズの1つになった理由はADPだけではありませんが、その要因となっていることは確かです。『クラッシュハンマー』は多くのデッキにADPに勝つ方法を与えてくれますが、プレイングによってゲームをコントロールできるわけではありません。コインの表裏でゲームの結果が決まるのは見ていて楽しいもですが、プレイヤーにとってはむしろイライラを感じることがほとんどです。

また、ADPZとの対戦では、『クチートGX』がどれだけゲームに絡んでくるかというのも、時折イライラさせられる部分です。「みわくのウインク」は、それ自体でゲームを決定することができ、かつ頻繁に使用させる特性です。この特性がなければ手札に残されているかもしれないサポートポケモンも、この特性によってプレイヤーが想定しているよりも早く使用しなければならず、最適でないプレーをプレイヤーに強制します。
可能な限り回避しようとしても、避けようがないこともあります。『クチートGX』は面白いカードコンセプトであるものの、実際には多くの不愉快な「非ゲーム」につながっています。

ADPがこれほど長い間人気を博してきた大きな理由の一つは、それに対する信頼できるカウンターを見つけるのが非常に難しいということがあります。
ほとんどの場合、トップメタのデッキがあったとしても、そのデッキに対抗するための有効な方法が存在しています。多くの場合、そのカウンターデッキは、それ自体がメタゲームの一部になるほど優秀なデッキであり、常にメタゲームの変化を引き起こしています。ADPZの場合、ここ1年近くトップメタのデッキたちにあまり変化が見られません。
前述したように、このデッキは確かに無敵ではないし、他のすべてのデッキに対して有利な対戦をすることもないでしょう。しかし、ADPZ の注目すべき点の一つは、他のデッキがどれだけADPZ相手に対策しても、ADPZ側がその対戦を有利に進める方法が常にあるということです。これまでのところ、ADPZをティアリストから押し下げるようなデッキは一度も出てきませんでした。
以下はそれらのADPZ相手の準備と、ADPZ側の対応の一例です。

■弱点
弱点はポケモンTCGのバランスをとる上で重要な役割を果たしていますが、ADPは他のデッキと違ってその点を気にする必要がありません。弱点であるフェアリータイプはソード&シールド以降打ち切られており、残っている数少ないフェアリーポケモンもザシアンVに対して弱いため、ADPZにとっては問題になりません。

■エネルギー破壊
エネルギー破壊はADPに対して強いですが、リスクのあるコインフリップを伴うのはさておき、破壊できたとしてもADPにはメタルソーサー+エネルギー付け替えで対処する方法があります。十分にドローしてコンボを打てば、それらをほとんど無視することができます。また、ターボパッチはエネルギー破壊戦略に対してさらにリカバリー力を高めることができます。

■ダメージを耐える
メルカリザシアンは、「フルメタルウォールGX」と『メタルゴーグル』で一撃範囲外に身を置くことで勝とうとしますが、ADPZは十分なダメージを与えるために『ツールスクラッパー』か『ダンデ』のどちらかを採用することができます。多くのデッキが『ミュウツー&ミュウGX』で攻撃しようとするのは、ADPZがHP270に対して一見届いていないからですが、『げんきのハチマキ』や『ガラルジグザグマ』、あるいは『ダンデ』はそれを変えることができます。

■サイドレース
一部のデッキでは、サイド1-2枚のポケモンを一切使わないことでADPZに対抗しようとしており、基本的には「オルタージェネシスGX」の追加効果を無駄にしています。しかし、『デデンネGX』や『クロバットV』のようなサポートポケモンを使わないことは、特に『マリィ』や『リセットスタンプ』がメタゲームで人気のあるカードであるため、それ自体が問題になってしまう傾向があります。さらに、これらのデッキは伝統的に炎タイプであり、基本的に『マルヤクデVMAX』や『レシラム&リザードンGX』を中心としたデッキですが、ADPZに『ミロカロスV』を採用することで対抗されてしまいます。

■ジュナイパーのようなカード
サイド1枚ポケモンのみのデッキ、GX/Vのみのデッキや、ADPZとしては『ジュナイパー』のようなポケモンに問題を抱える可能性がありましたが、「オルタージェネシスGX」と『ギルガルドV』を組み合わせるだけで、それらの対戦を自動的な負けに近い状態から勝利へと変えてしまいます。似たような問題を持つ他のデッキは、『ジュナイパー』のようなデッキに対して実行可能なゲームプランを見つけること自体が難しいです。

■ADPを早めに倒す
2ターン目にADPをきせつさせようとするデッキに対しては『大きなおまもり』を入れることで、その方針は信頼性の高いプランではなくなります。

他のデッキがADPZを対策する方法に対して適応できることは悪いことではありません。
実際、多くのプレイヤーはそれがこのデッキの最も興味深い部分だと同意するでしょう。しかし、ADPZに対抗することができないというポイントに到達したとき、その事実が問題になっていないかどうかを考える価値はあります。
未だ環境に出ていない有効なデッキの多くは、ADPZの存在によって排除されてしまっています。その場でゲームの勝敗を決めるために、最初の2ターンの質に頼らざるを得ません。その他のデッキはコインのような信頼性の低い戦略に頼らなければならず、対戦の結果をプレイヤー自身がコントロールすることもあまりできません。ADPZが面白くてユニークな対戦を行うことは不可能ではないし、もちろんこのデッキは優秀なプレイヤーが使用することで恩恵を得ることができます。しかし、他の多くのメタデッキの平均に比べて、対戦においてプレイのやり取りやインパクトのあるプレイングの決定はほぼ確実に少なくなっています。その結果、かなりの数のプレイヤーがこのデッキとの対戦を楽しめませんし、トーナメントシーンでの人気の高さから、ADPZを避けることも難しいです。

ここまでの話を要約します。
現在のメタゲームを変化させ、より楽しいスタンダードフォーマット体験を提供するために、以下の理由で一時的に ADP を禁止とします。

・信頼できるカウンターがないこと
・ほとんどのトーナメントで最もプレイされているデッキであること
・メタゲームへの影響
・対戦自体が楽しくなく、プレイヤー同士のせめぎ合いが少ないこと

カードを禁止する際に心配なのは、一部のプレイヤーがデッキを持っていないままになってしまう可能性があることです。しかし、ADP禁止の場合、ADPZしか持っていないプレイヤーでも、ADPなしで『ザシアンV』をプレイすることができます。また、『ルカリオ&メルメタルGX』を追加して、より防御的な戦い方も比較的少ない投資で可能です。
全体的に見てこの禁止は、トーナメントへの参加に深刻な影響を与える可能性は低いと考えています。ADP が去ることを喜ぶプレイヤーもいれば、どちらにしてもあまり気にしないプレイヤーもいるでしょうが、ADPが問題であるという考えに反対するプレイヤーでさえ、このカードが本当に恋しくなる可能性は低いと思います。この一時的な禁止は少なくとも価値のある実験にはなるでしょう。

https://www.deepl.com/ja/translator で一次翻訳したものを清書しています。)

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結論としてADPの存在によって、ゲーム自体の体験があまり良くないものになってしまっているということ。
割とソーシャルゲームの運用的な考えに近く、クラハンのくだりやクチートGXあたりの部分は面白さであるものの確かにネガティブな要素の方が多いと感じますね。
根本的に非公式だったり、海外環境はレギュレーションの違いがあったりと日本で同じような裁定が下ることは無いと思いますが、Limitlessのお気持ちをこういう長文で読めたのは面白かったので翻訳させていただきました。

コメント

かめーる
2020年12月28日18:25

完全に同意です。
三神のおかげでデッキ選択の幅が大いに制限されて、
環境の多様性を損ねているのは常々感じているところ。

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